2012年3月21日水曜日

京都新聞「社説」

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京都新聞「社説」 2012年03月21日掲載
原発全廃提案  賛同広げる努力怠るな
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html

大株主の「反乱」ほど経営陣にこたえるものはないだろう。公的な株主であれば、なおさらだ。
関西電力株の9%を保有する筆頭株主の大阪市が、6月に予定される株主総会で「可及的速やかな全原発の廃止」を提案することを決めた。橋下徹市長は京都市と神戸市にも連携を呼び掛けている。
電力需要が高まる夏を控え、経済界には原発の再稼働を求める声が強い。しかし住民の命と健康に責任を負う自治体の判断は経済性だけに引きずられるべきではない。
その意味で「選挙で選ばれ、背後に有権者がいる。通常の株主として扱うべきでない」との趣旨の橋下発言はうなずける。原発に不安を抱く住民の声を、電力会社の事業活動に反映させようという大阪市の意図を評価したい。
提案の骨子は大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議(座長・植田和弘京都大教授)がまとめた。原発全廃の主張が目立つが、地震と津波対策の徹底、使用済 み核燃料の処理方法の確立、再生可能エネルギーの大規模導入、発電と送電部門の別会社化(発送電分離)など、エネルギーの将来を見据えた論点を網羅してい る。
国は今夏、エネルギー基本計画を見直すが、大阪市の提案は参考になるのではないか。
大阪市の提案が株主総会でどれだけの支持を集めるか、注目したい。京都、神戸両市が同調すれば株保有率は約13%に達する。今のところ、金融機関など他 の大口の法人株主に賛同の動きは見られず、可決は厳しいとの見方が多いが、全株の3分の1を保有する個人株主の動向次第では波乱が起きる可能性もあろう。
提案は、厳密な検討をしたうえでなお需要が供給を上回る場合に限り、原発の最低限の稼働を認めるとしている。停止中の原発を再稼働させる理由とされないよう気をつけたい。それには、電力会社が需要を過大に見積もっていないか、第三者が精査する方法を見いだす必要がある。
株主総会の結果は予断できないが、今回のような提案が出る事態そのものを、関電は重く受け止めねばならない。
京都、大阪、神戸の3市は脱原発依存を求める意見書を2月、共同提出した。これに対し関電は「原発は引き続き重要な電源」と従来の立場を繰り返し、発送電分離にも否定的な回答を寄せた。脱原発の潮流を受け入れず、自己改革に後ろ向きな姿勢は残念だ。
提案側の政治家の態度も見極めたい。橋下市長が率いる「維新の会」の国政進出を控え、有権者の歓心を買うためのパフォーマンスだとの冷めた声がある。批判に応えるには、可決を目指し、本気で株主の説得にあたることだ。
[京都新聞 2012年03月21日掲載]

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