日刊ゲンダイから全文引用
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
ドル基軸にトドメ刺す資金供給の協調策
http://gendai.net/articles/view/syakai/134018
2011年12月2日 掲載
1ドル=50円に向かう
日米欧の主要中央銀行が、ドル資金供給の協調策で合意した。米連邦準備制度理事会(FRB)が主要中銀にドル資金を供給する際の金利を0.5%引き下げ、世界中の市場をドルでジャブジャブにするのが狙いだ。先進各国による壮大なドル散布である。
合意に参加したのは日銀、FRB、欧州中央銀行、英イングランド銀行、カナダ銀行、スイス国立銀行の6つ。各中銀が民間金融機関にドル資金を供給する際の金利も0.5%下げる。ま、資金繰りが苦しい銀行はホッと一息だろうが、これによって欧州の金融危機が回避されるわけではない。米国の猛烈な引き締めでドルが市場に不足しているというのなら、こうした策も有効だろう。だが、現実は逆だ。むしろ米国は金融を緩和する方向に踏み出している。ドルは不足しているわけではない。そこにボタンの掛け違いがある。
諸悪の根源は、ギリシャやスペイン、イタリアといった財政問題を抱える国の債券価格が下落していることだ。これをどうにかしないと、金融機関の資産内容は改善されないし、信用不安も残る。あり余ったドルが銀行にも流れる、という状況をつくるのは、一時しのぎの対症療法。抜本的な解決策と違う。
やはり必要なのは、懸念を持たれている国々が財政規律を回復す
ることである。国債を保有している金融機関の資金調達がスムーズになるように、健全な姿を取り戻さないとダメだ。そのためには、大急ぎで歳出カットや増税といった政策を取りまとめなければならない。これが大変だからと頓服を飲ませても、病根は消えない。その間も病気は進行する。弱っている欧州の国々が、本当の健康体を取り戻せるわけではないのだ。
しかも、この頓服には副作用がある。寿命が尽きる寸前のドルをさらに弱らせることだ。ドルが市場にあふれれば、価値は損なわれる。基軸通貨としての使命は、いよいよ果たせない。米国を軸とした資本主義経済は断末魔の場面を迎えているのだ。日本も無傷ではいられない。ドルが凋落すれば、円は高騰する。1ドル=50円の水準に向かうのは確実だ。たとえTPPで関税がゼロになったとしても、輸出で儲けるなんてできなくなる。
闇に包まれているような時代だ。
【高橋乗宣】
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